ワンタンメン(1,100円)

ワンタンメン(1,100円)


 このお店との最初の出会いは、もう忘れてしまった。父の仕事の関係で縁があったんだと思った。
 初めて食べたのは、小学生になるかならないかくらいだったと思う。
 当時は行列のできるラーメン店はまだそんなにはなかったと思うが、ここと『味の大西 湯河原本店』は、当時から並んででも食べたい一杯だった。

 30年近く食べ続けた。
 店主親子の群像劇も、見続けてきた。
 私自身も、子供の頃は丼が熱くて台から降ろせなかったが、いつの頃からか、熱いのを我慢して降ろせるようになった。

 私は、好きなお店はどこかと聞かれれば、いつも『むら田』だと答えていた。
 神奈川県の中西部では高い知名度を誇っていたこちら。しかし、それ以外の地域では知名度は低く、それを東京勢にも猛プッシュしてきた。その名を広める一助にはなったかと思う。
 そのむら田が本日閉店だという。これは、是非食べ納めたい。


看板

 最終日は、弟子である『郁』と、店頭の掲示のみであったが、Twitter等で話が広がり、当日は150人余りのお客さんが押し寄せた。
 嬉しい限りである。
 しかし、どうにも一見さんが多すぎて、常連さんが次々と諦めて帰って行く様子を見掛けた。双方の気持ちはわからなくはないが、非常に残念であった。

 ちなみに、先頭は6時台に並び始め、チャーシューは10時過ぎに並んだ人で終わり、ワンタンは11時前に並んだ人で終わり、ラーメンも11時過ぎの人で予定80食完売となった。
 しかし、郁の麺を持ち込んで、更に追加。最終的に100食以上出したんじゃないかな。

 オヤジの怒鳴り声は健在。
 客にまで怒鳴るから、そういうのが駄目な人は一度で来なくなる。
 でも、味を求めて何度か来るうちに馴れてきて、単なるBGMになる。
 まず最初に、いつの間にか随分と値上げしてるな、と。
 まあそれはいいとして、最終日だからといって、小田原まで来る人は少ないだろうと思い、10時半に到着した私。
 前述のとおり、チャーシュー切れになってしまいましたので、これを。
 どーせ皆チャーシューワンタンメン頼むんだから、杯数分用意すれば良かったのにね。
 最後にチャーシューワンタンメンが食べられなかったのは、非常に無念。

 昔は油の層が浮かび、豚ガラ臭が強く、癖はあるが甘い、旨いスープだった。
 季節ごとに濃さや油も違ったのだが、今思うと単なるブレだった気もする。
 今回のラーメンは、ほんのりと豚ガラの香りはするが、味、油ともに全盛期にはほど遠い味。

 とにかく薄い。

 オヤジさん、歳とともに油が少なくなっていったが、味がブレ始めたのは糖尿病のせいかもしれない。
 それでもいい。それでも食べるだけの価値が、この一杯にはあるのだ。


 もしかしたら、湯切りも悪いのかな。
 ほぼ切らずにそのまま。
 湯で加減はいいのだけれど、あれではスープは薄くなる。


 具の方は、切れっ端のみのチャーシューは、相変わらずモチモチで、濃い味。
 やはり、チャーシューワンタンメンで食べたかった。
 ワンタンは、やや味付けが薄くなった気がするが、旨い。

 そして、ここの特徴である、支那竹。
 甘く繊維状態まで煮込んだそれは、絶対に食べるべき逸品。
 昔はこれの持ち帰りもやっていて、よく買って家でおつまみにしたりした。
 前に、支那竹は完全に赤だと聞いたことがあるが、それにしても持ち帰りの支那竹は高かったように記憶している。

暖簾

 40年の歴史に幕。
 これからは、郁で食べることになるのかな。
 ちなみに、ラストランでは50名近くが食べられなかったので、もう一度来月営業するとか。
 郁の2号店も秦野に出来るそうで、これからも楽しみです。
 これまでありがとうございました。ごちそうさまでした。

花

162杯目/2014年

【お店詳細(食べログ)】
支那そば むら田

昼総合点★★★☆☆ 3.2



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